


所得税の最高税率の引き上げが検討されるようです。
(産経新聞2/19)
所得税の最高税率引き上げ検討 菅財務相が表明
菅直人副総理・財務相は19日の衆院財務金融委員会で、現在40%の所得税の最高税率について、「この10年間で最高税率が下がってきた。その見直しも含めて政府の税制調査会で検討したい」と述べ、高所得者への課税を強化するため、引き上げを検討する方針を示した。
所得税の最高税率引き上げをめぐっては、鳩山由紀夫首相も共産党の志位和夫委員長との会談で検討する考えを表明している。
菅財務相はこの日の同委員会で、「現在の所得税では(所得の)再配分機能が低下している」と指摘した。
所得税の最高税率は昭和61年には70%だったが、段階的に引き下げられて現在は40%となっている。
政府税調は来週中にも有識者で中長期の税制のあり方を議論する「専門家委員会」の初会合を開く予定。
菅財務相は同日の閣議後会見で、「所得税も見直しが必要な部分があれば、専門家委員会で意見を出していただきたい」と述べた。
平成22年度税制改正大綱では、所得税について、次のような現状と課題を提起しています。
(1)現状と課題
所得税については、累次の改正により、税率の引下げ・その適用範囲(ブラケット幅)の拡大が行われるとともに、各種控除の累次にわたる拡充によって課税最低限の引上げが行われてきており、所得再分配機能や財源調達機能が低下している状況にあります。
現在の所得税は累進構造をとっていますが、実効税率はなだらかに上昇し、一定所得以上は下降しており、累進性を喪失している状態と言えます。
その原因としては、第一に、所得控除が相対的に高所得者に有利なこと、第二に、分離課税している金融所得などに軽課していることなどが挙げられます。
格差が拡大する中、所得税には所得再分配機能の発揮が求められています。
特に、中間層が低所得層へと落ちていく下への格差拡大を食い止めることは喫緊の課題です。
累進構造を回復させる改革を行って所得再分配機能を取り戻す必要があります。
(2)改革の方向性
所得再分配機能を回復し、所得税の正常化に向け、税率構造の改革のほか、以下のような改革を推進します。(以下省略)
【所得税の実効税率】
平成22年度税制改正大綱で述べられている「実効税率はなだらかに上昇し、一定所得以上は下降」とは、平成19年の所得税の実効税率は、所得金額が5000万円から1億円の層が26.5%とピークを迎えその後、
・所得金額が1億円から2億円の層=25.2%
・所得金額が2億円から3億円の層=23.5%
のように、下降していくことを指しています。
【平成22年度税制改正大綱の問題提起】
平成22年度税制改正大綱が問題提起をしているのは、次の2つです。
(1)所得控除が高所得者に有利である
(2)株式の配当や売却益の税率が低いこと
(1)所得控除が高所得者に有利である
所得控除が高所得者に有利であることは、間違いありません。
(2)株式の配当や売却益の税率が低いこと
バブル崩壊後、日本経済を支えるという趣旨で税率を低くしている経緯からすると、累進性を喪失していることはやむを得ないかと考えます。
【近年の所得税の税制改正】
近年の所得税の税制改正は、次のようなものがあります。
(1)配偶者特別控除の部分的廃止(平成16年以降)
配偶者控除との二重控除を廃止
(2)老年者控除の廃止(平成17年以降)
50万円の所得控除の廃止
(3)公的年金等控除の縮小(平成17年以降)
65歳以上の最低保障額を20万円縮小
(4)定率減税の廃止(平成19年以降)
所得税を20%減税する措置を廃止
平成22年度税制改正大綱は、「所得控除が高所得者に有利である」ことを問題視していますが、所得控除は近年ではむしろ「縮小」されています。
【証券税制の改正も見込まれています】
上場株式の配当や売却益の税率を平成24年以降、20%に戻す予定です。
平成22年度税制改正大綱は、「株式の配当や売却益の税率が低いこと」を問題視していますが、既に税制改正で手当て済みではないかと考えます。
【平成19年のデータだけを取り出して議論するのはあまりにも乱暴】
平成22年度税制改正大綱では、平成19年のデータを基に問題提起をしています。
・近年、各種控除はむしろ縮小されている
・証券税制について、既に改正が予定されている
ことから、平成19年のデータだけを取り出して議論するのはあまりにも乱暴だと個人的に考えます。
もし、「この10年間で最高税率が下がってきた」ことを問題視するのであれば、単年度の実効税率だけでなく、
・この10年間の各年度の実効税率
・この10年間の収入に対する所得税の負担率
など他のデータも検討すべきだと考えます。
また、所得税だけでなく住民税も併せた議論が必要かと考えます。
いずれにしましても、今後の動きに注目をしていきたいと思います。
長嶋は、近畿税理士会芦屋支部に所属をしています。
芦屋支部は、芦屋税務署が管轄する神戸市東灘区と芦屋市に、税理士事務所を構える税理士から構成されている部会です。
長嶋は、この芦屋支部の広報委員をしておりまして、先日芦屋税務署長にインタビューをしてきました。
【芦屋税務署長へのインタビューは恒例行事】
芦屋税務署長へのインタビューは、今年で4回目。
毎年の異動の後、しばらく時間をおいたこの時期に、いつもインタビューをさせていただいております。
いろんな経歴をお持ちの方が税務署長になられます。
税務などの真面目な仕事のお話だけではなく、趣味などのプライベートなこともお聞きすることができますので、毎年楽しみにしています。
【年明けの会報誌にこの模様を掲載】
年明けに発行される芦屋支部の会報誌に、今回のインタビューが掲載されます。
これから年末にかけて忙しくなる時期ですが、締め切りまでに原稿を仕上げたいと思っています。
先日、日本とフランスの不動産の税金関係について、ご相談がありました。
お話を伺うと、確かに日本とフランスとの間で国際的な二重課税の問題がありました。
【なぜ日本とフランスとの間で国際的な二重課税になるのか】
日本とフランスとの間で国際的な二重課税になっている理由は、
・フランスに不動産があるので、その売却益について、フランスの所得税が課税される
・日本の税制は、日本に住んでいる方であれば全世界の所得について課税されるので、日本でも所得税が課税される
ためです。
このように、「フランスの不動産を売却する」という一つの事柄について、日本とフランスの双方で所得税が課税されます。
【日本とフランスとの間の国際的な二重課税を防ぐ方法】
日本が、フランスをはじめ各国と締結している租税条約において、国際的な二重課税を防ぐ方法として、次の2つがあります。
(1)多くの国々と締結している方法
アメリカ・オーストラリア・カナダ・イギリス・シンガポール・中国・マレーシア・ニュージーランドなど
(2)少数の国々と締結している方法
スイス・ドイツ・フランスなど
このように、国際的な二重課税を防ぐ方法は、各国それぞれ違います。
【みなさまが世界中どこに行かれたとしても、お手伝いができることを目標に】
今回ご相談いただいたのは、日本の税金がどうなるのか、というご相談でした。
フランスの不動産の売却なので、通貨が日本円ではなくユーロとなります。
また、フランスと日本の税制は違うので、日本の税制に合う形で、日本の所得税の計算も必要となります。
また、所得税だけでなく、相続税や贈与税の問題も今後出てくると思います。
場合によっては、フランスの税金の専門家のご紹介も必要かもしれません。
長嶋は、スイスのプライベートバンクとお付き合いさせていただいています ので、プライベートバンクを通じてヨーロッパ各国の専門家のご紹介も十分可能です。
また、アメリカの企業様との提携 により、アメリカ・香港・シンガポール・オーストラリアなどの専門家をご紹介することも十分可能です。
みなさまが、世界中どこに行かれたとしても、お手伝いさせていただく。
これを目標に、今後も長嶋のサービスを拡充していきたいと考えています。
先日、アメリカのコンサルタントとお会いさせていただきました。
そのコンサルタントは日本人で、お付き合いさせていただいてから1年くらいになります。
年に4~5回来日をしており、来日のたびにお会いさせていただいています。
今回の来日でも、日本にお困りのお客様がいらっしゃるということで、詳しいお話をお聞きするとのことでした。
【アメリカの法律では合法でも日本では問題がある】
お困りになられているお客様について、世間話として「○○のことでお困りになられているお客様がいらっしゃる」と聞いていたのですが、そのコンサルタントがお客様にお話になろうとしていることに問題があると気付きました。
アメリカの法律では確かに合法かもしれませんが、日本の法律で考えると問題がある。
・日本の法律では何が問題なのか
・もし、それが問題であれば、どのように解決すれば良いのか
をコンサルタントにお話しました。
コンサルタントは、「長嶋さんにお話をして助かった」とおっしゃってくれました。
【日本と海外での二重課税という問題も】
海外を利用して何かをするときは、海外の法律はもちろんのこと、日本の法律で合法なのかどうかを検討する必要があると思います。
その結果として、国際税務の問題が出てきて、場合によっては、日本と海外での二重課税という問題も出てきます。
【日本と海外の専門家両方に相談することも検討】
日本と海外の間で何かをするときは、必ず両国の専門家にご相談されることをお勧めします。
専門家と申しましても、税金の分野でも、
・会社の税金(法人税)に詳しい専門家
・個人の税金(所得税・相続税・贈与税)に詳しい専門家
のように、それぞれ得意分野があります。
みなさまがお困りになられていること(会社のことなのか、個人のことなのか)により、相談される専門家を区別する必要があると思います。
そして、各国税法が違います。
また、日本と租税条約を結んでいるかどうか、その租税条約の内容も各国違います。
専門家により得意とする国が違いますので、相談される専門家を慎重に選ぶ必要があると思います。
【税務調査は、高額で悪質な脱税行為などを重点的に行います】
このほど、国税庁より「平成20事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について 」が公表されました。
その内容は、平成20年7月から平成21年6月までの間に行われた所得税と消費税の税務調査の状況を取りまとめたものです。
税務署による税務調査は、限られた人数の中で行われるため、効率的な税務調査を行っています。
効率的な税務調査を行うため、高額で悪質な脱税行為などを重点的に調査をしています。
以下、日本と外国の間で起こる国際税務の問題を中心にご紹介します。
(参考:週刊税務通信№3088)
【所得税の税務調査の方法】
所得税の税務調査は、脱税行為などの状況により、次の4つに分類して行われます。
(1)特別調査
高額な脱税行為などが予想される人に対して、10日以上の日数をかけて行う税務調査
(2)一般調査
特別調査までの調査はしないが、6日程度の日数をかけて行う税務調査
(3)着眼調査
申告漏れの所得などの把握を、2~3日程度の日数をかけて行う税務調査
(4)簡易な接触
文書や納税者が税務署に訪問し、面接などで計算誤りなどを正しくする税務調査
なお、税務調査は(1)と(2)を重点的に行われています。
【税務調査の事例】
税務調査について、海外に関係する事例は、次のようなものがあります。
(1)海外の金融機関の預金や外国債券の利息を申告していなかった
(2)海外の会社から受け取っていた役員報酬を外国のみに申告を行い、日本では申告をしなくても良いと誤解をしていた
(3)海外の株式の売買を行い利益があったが、申告をしていなかった
【税務調査はどのようにして行われているのか】
現在、国税庁では、東京・大阪・名古屋・関東甲信越の各国税局に、「国際調査課及び国際化対応プロジェクトチーム」を設けています。
これにより、海外の事案についても積極的に税務調査が行われています。
具体的に税務調査を行う根拠となる情報の収集は、国外送金等調書や租税条約が活用されています。
(1)国外送金等調書
国外送金等調書とは、金融機関から税務署に提出される法定の報告書です。
・100万円を超える日本から海外の金融機関への送金
・100万円を超える海外から日本への金融機関への送金
をしたときは、金融機関から税務署へ報告書が提出されます。
この報告書が提出されることで、お金の流れがすべてわかります。
(2)租税条約
租税条約の目的は、国際的な経済活動を活発にさせることです。
この国際的な経済活動を活発にするため、
・国際的な二重課税を防ぐ
・国際的な脱税や脱法行為の防止
・税務当局間の国際協力
が行われています。
日本の税務当局は、脱税や脱法行為があると判断したときは、外国の税務当局に対して、その情報を入手することができます。
上記のように、脱税行為などの疑いがあるときは、税務署は調べればすぐにわかる仕組みになっています。
【国際税務は非常に難しい】
国税庁は、次のように述べています。
海外で発生する所得の申告漏れ事案が多いことから、「居住者は、所得の生じた場所が国の内外を問わず、そのすべての所得について所得税を納める義務がある。」ことを広報媒体を活用し、周知に努めていきます。
海外の所得が申告漏れとなる大きな原因として、
・申告漏れとわかっていて、申告漏れにしている
・申告漏れとは知らず、法律の解釈の誤りで、結果として申告漏れになってしまった
の2つがあると思います。
申告漏れとわかっていながら行うのは論外ですが、法律の解釈の誤りというのも少なからずあります。
このような国際税務のお話になりますと、
・日本では問題なくとも、海外では問題がある
・日本では問題があっても、海外では問題ない
ケースが起こりえます。
国際的な税務の判断は慎重に行いたいところです。
次のような税務判決をご紹介します。
わかりやすくするため、言葉を大幅に変えています。
そのため、原文とは意味が異なる場合がございます。
【結論(私見)】
(1)税務署職員に税務相談をしても、税務署としての公的な見解ではありません。
(2)税務署職員の指導や助言を受けても、追徴課税をされる可能性があります。
(3)税務署は、税金を取るために存在しています。税務署での税務相談は、あくまで一般的なお話で、納税者にとって有利になるようなお話をするわけではありません。
【事件の概要】
原告Aさんは、平成15年分の所得税の確定申告書を提出しました。
原告Aさんは、所得税の確定申告書の作成にあたり、税務署へ相談に行き、税務署職員から指導を受けていました。
ところが、後日、この提出した所得税の確定申告書の内容に誤りがあるとして、追徴課税を受けました。
原告Aさんは、追徴課税を受けたことに納得ができず、取り消しを求めて裁判を起こしました。
【判示事項】
(1)租税に関する法律に基づいて適正に課税をすることは、その課税が違法として取り消すことができる場合でも、租税に関する法律に基づいて適正に課税されている限り、慎重に判断をしなければならない。
また、租税に関する法律に基づくことで、納税者にとって平等や公平が損なわれるようなときは、納税者を保護しなければならないような特別な事情がある場合に、初めてその課税が違法として取り消すかどうかを考えるべきである。
そして、この特別な事情があるかどうかの判断は、少なくとも税務官庁が納税者に対し、信頼の対象となる公的な見解を示したことにより、納税者がその見解を信頼して、その信頼に基づいて行動した結果、後日その見解に反する課税の処分が行われ、そのために納税者が不利益を受けるようになったのかどうか、
また、納税者が税務官庁の見解を信頼し、その信頼に基づいて行動したことについて、納税者の責任があるのかどうかを考慮しなければならない。
(最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判決・裁判集民事152号93頁)
(2)税務署は、納税者である国民への信頼や期待を裏切らないように誠実に行わなければならないという法律の考え方(信義則)があります。
この考え方の対象となる税務官庁が示した公的な見解は、一定の責任がある立場の者による正式な見解が必要であると考えられます。
(3)税務相談は、行政サービスの一環として、納税者の納税や申告を助けるために設けられているものです。
(4)この事件において、原告Aさんに対する税務署職員の指導や助言は、税務署長など一定の責任がある者の正式な見解ではないので、「税務署は納税者である国民への信頼や期待」を考慮するときの公的な見解と言うことはできません。
所得税更正処分取消請求事件
東京地方裁判所 平成19年(行ウ)第165号
平成19年9月14日判決言渡し(請求棄却 確定)
このほど、平成21年度の与党税制改正大綱が決定されました。
この案をベースに来年3月の国会で税制改正が行われる予定です。
昨年と同様、民主党の動きによっては修正されますので、現時点ではまだ参考程度の位置づけとなります。
長嶋ブログでは、項目を絞りましてご紹介していきたいと思います。
土地取引の活性化のための法人税・所得税の減税
【制度の概要】
土地取引の活性化のために、土地を売却して利益が出たとしても、1000万円までの利益には税金がかかりません。
この減税制度は、法人・個人に創設されます。
したがいまして、法人税・所得税の減税制度となります。
【具体的な内容】
平成21年1月1日から平成22年12月31日までに日本国内の土地を取得して、所有期間が5年間を超える土地を譲渡したときは、その売却益から1000万円を控除します。
つまり、平成21年・平成22年中に土地を購入して、平成26年・平成27年以降にその土地を売却したときの利益のうち1000万円までは税金をかけないということになります。
法人でいえば、1000万円×30%=300万円
個人でいえば、1000万円×50%(最高税率)=500万円
程度、売却をした年の法人税・所得税が減税されます。
【土地の売買による登録免許税の減税が延長されます】
土地を売買したときの所有権移転登記に対する登録免許税の特例措置について、平成21年4月1日以後の税率引き上げが2年間延長され、次のように段階的に税率が引き上げられます。
| 項目 | 標準税率 | 平成23年3月31日まで |
平成24年3月31日まで |
平成25年3月31日まで |
| 土地の売買による所有権移転登記 | 20/1000 | 10/1000(現在と同じ) | 13/1000 | 15/1000 |
| 土地の所有権の信託登記 | 4/1000 | 2/1000(現在と同じ) | 2.5/1000 | 3/1000 |
土地の売却益だけでなく、土地を売買したときにかかる登録免許税も減税して、土地取引の活性化を図ろうとする減税措置です。
「評価上がる」と脱税指摘の虚偽報告、国税調査官を懲戒免職
企業が脱税行為などをしたように装った文書を捏造(ねつぞう)し、必要のない課税をしたとして、広島国税局は14日、広島市内の税務署勤務の男性国税調査官(31)を懲戒免職にした。
国税庁監察官は同日、調査官を虚偽公文書作成・行使の疑いで広島地検に書類送検した。
発表によると、調査官は「脱税行為を指摘すれば評価が上がり、出世できると思った」と話しているといい、発覚しないよう、各企業に送った重加算税などを求める偽の通知書を「誤送付だった」と回収していた。重加算税など計約33万円は自分で納付していた。
調査官は2006年12月~07年6月に税務調査をした企業24社のうち3社について「脱税行為がある」と上司に虚偽の報告をし、偽の通知書を作成。別の2社には、源泉所得税の課税を求め、同様の通知書を作ったという。
