遺産相続の相談、相続税の相談を解決へと導く、兵庫県芦屋市の相続税専門の税理士事務所です。

長嶋佳明税理士事務所
相続これから|争続となる事例
争続となる事例
山田さん(80歳)・長男(50歳)・長女(45歳)の3人家族。山田さんは妻と5年前に死別し、長男夫婦と孫(18歳)と同居しています。長女は嫁いでおり、孫(16歳)を連れてお盆とお正月に実家に帰る程度です。山田さんの介護は長男の嫁が献身的にしており、山田さんは長男の嫁には大変感謝しています。ある日、山田さんは帰らぬ人となってしまいました…
山田さんの遺産は、会社員時代の退職金が郵便局の口座に500万円残っていました。そして、100坪のマイホームの時価がおよそ9,500万円。遺産の総額は1億円です。

相続人となるのは、長男と長女の2人です。相続税は350万円かかりそうです。
相続の権利はみんな平等
現在の相続に関するルールを定めている「民法」という法律では、相続は「みんな平等」という考え方をしています。また、子供が親の面倒を見るのは常識的に「当たり前」のことだと考えていますので、親の介護をしたからといって遺産を多くもらえるというものでもありません。親の介護をした・しないに関係なく、相続の権利は長男・長女ともに「平等」です。つまり長男・長女の相続の権利は「半分ずつ」ということになります。
長男の嫁には相続の権利がない
山田さんは献身的に介護をしてくれた長男の嫁に遺産を渡したいと思っても遺産を渡すことができません。なぜなら、長男の嫁には相続の権利がないのです。あまりにも気の毒ではないでしょうか…
長男の嫁に遺産を渡すには遺言書
山田さんが長男の嫁に遺産は渡すには、遺言書を作成することが確実です。この場合、相続人以外の長男の嫁に遺産を渡すと、相続税を余分に支払う必要があるので注意いただきたいと思います。
遺言書を作成
山田さんは、長男の嫁の献身的な介護に大変感謝されておられましたので、なんとか長男の嫁に遺産を渡したいと考えていたところ「遺言」という制度があることを知りました。そこで、山田さんは遺言書に「長男の嫁に60%の遺産を渡す」という遺言書を事前に作成しました。
遺言書により受け取ることができる遺産
遺言書通りに1億円の遺産を分割しますと、長男の嫁は6,000万円(1億円×60%)、長男・長女ともに2,000万円ずつ【1億円×(100%-60%)×1/2(長男・長女は残り40%を半分ずつ)】受け取ることになります。
遺留分という権利がクセモノ
「遺留分」という権利。簡単に言いますと、相続人は最低でも相続の権利の半分は保証されているという権利です。相続後の相続人の生活が困らないようにと、その生活費として最低限保証しましょうという配慮が、相続のルールの中にあります。親の介護をしなくても、定職に就かず遊んで暮らしていても相続人であれば、この「遺留分」という権利が保証されているのです。この相続人が最低限の生活費を遺産として受け取れないときは、相続人が家庭裁判所に申し出ることにより、生活費を最低限保証する「遺留分」という権利を守ってもらうことができます。民法という相続のルールを定めた法律の中で決められていることですので「法律で決められていることを主張して何が悪いのか」と言われてしまいますと、確かに正当なことなので反論できません。しかし、長男の嫁のような立場の方のことを考えますと、人としての心情という面からすれば、この遺留分という権利はクセモノです…
ここからが争続の始まりです
遺留分の権利により、長男・長女ともに相続の権利(1/2)の半分は保証されているので、法律では、2,500万円(1億円×1/2×1/2)は最低受け取ることができます。遺言書通りに遺産を分割すると、長男・長女ともに2,000万円しか受け取ることができません。つまり、長男・長女ともに、遺留分の権利により長男の嫁に「500万円ください」と主張することができます。長男は、ご自身の妻から500万円くださいとは言わないでしょう。夫婦の財布は同じですから、どちらが遺産を受け取ってもいいわけです。しかし、長女は遺留分の権利を主張すると思います。なぜなら、子供(16歳)が大学進学を控えているので、これから学費の準備をしなくてはならないからです。そして、マイホームの住宅ローンもあります。長女は500万円の現金を遺産として受け取ることができるなら、家計も大変楽になります。
お金がない
長男は、長女から遺留分の主張があったため、500万円を長女に渡すかどうかを考えました。今、遺産は500万円の現金と9,500万円のマイホームだけです。つまり、長女に500万円を渡すとすれば、現金の500万円をそのまま渡すか、マイホームを売却して500万円のお金を作るかのどちらかです。マイホームを売却すると、長男自身が住む場所がなくなるので当然売却することはできません。500万円の現金を渡してしまうと、相続税は350万円かかりますので、長女と折半しても175万円を払わないといけません。長女は、現金500万円を受け取りますので、その現金から175万円の相続税を払っても、まだ手許には325万円残りますので、長女の子供(16歳)の学費や住宅ローンの返済に充てることができます。ですが…長男にも子供(18歳)がいて大学進学を考えています。長男も子供の学費の準備に充てたいと思っていますので、現金が欲しいのです。相続税を175万円払わないといけませんので、この相続で現金を受け取ることができなかったら、長男自身の貯金から相続税を払うことになります。これから子供の学費がたくさん必要な時期になりますので、貯金を引き出すことは避けたいのは言うまでもありません。
なぜ争続となるのか?
山田さんの「長男の嫁に遺産を渡したい」という「想い」と、相続人である長男・長女の「相続人である私たちだけで遺産を分ける」という「思い込み」のギャップが争族となる原因ではないでしょうか。そして、相続人の「生活環境」という個別の事情が争族となる原因の一つでもあると思います。
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