遺産相続の相談、相続税の相談を解決へと導く、兵庫県芦屋市の相続税専門の税理士事務所です。

長嶋佳明税理士事務所
相続これから|生前分与の活用
そもそも相続税とは?
税金、歴史的に戦争と深く関わるものです。簡単に言えば「戦費調達」のために税金が利用されてきたと言っても差し支えありません。相続税もその例外ではなく、その歴史は1904(明治37)年の日露戦争までさかのぼります。1894(明治27)年の日清戦争とは比較にならないほど多額の戦費が必要となった日露戦争。政府はとにかく税収を増やしたかったのです。そこで生活必需品である塩・砂糖・しょう油などにも税金がかけられ、たばこや電車に乗るにも税金がかけられました。ここで目をつけられたのが「戦死者」です。戦死者の財産は、その家族のものになります。「ただ」で財産が増えるなら税金払えるでしょう?という言いがかり…。これが、相続税の誕生です。「人は必ず死にます、死んだら税金を取れるので安定した税収になるすばらしい税金である」と、1905年に相続税が誕生した当時の官僚がコメントをしているほど、相続税は政府にとって画期的な税金だったようです。「税金は取りやすいところから取る」というのは、いつの時代も変わらないようです。
贈与税は相続税を取るための税金です
「戦死したときに財産があったら相続税が課税される、それでは生きているうちに財産を家族にあげてしまおう(贈与しよう)」と思うのは当たり前のことだと思います。そうされては政府の税収は増えないので、相続税を作った意味がありません。そこで政府は、贈与をさせなければよいと考えました。これが、贈与税の誕生です。相続税よりも贈与税を高額にすれば誰も贈与をしなくなる、という発想です。いつの時代もお役人は賢いようです。
贈与は「あげます・もらいます」で成立します
贈与は民法に定める契約ですので、相続税や贈与税といった税法に定められているわけではありません。では、民法はどのように「贈与」を定めているのでしょう。簡単に言いますと、財産をあげる人の「あげます」という意思と、財産をもらう人の「もらいます」という意思がお互いに合えば「契約は成立」します。つまり、贈与の契約書は必ずしも必要ではないということになります。確かに、贈与をしたという証拠にはなりますので、将来争ったときのために作成しておくのもよいかもしれません。
親が子供名義で預金していたら贈与になるの?
贈与は「あげます・もらいます」という意思がお互いに合うことが条件となります。例えば、親が子供のために預金をしている場合、親が預金をしているということを子供が知らないときは、贈与にはなりません。つまり、その預金は親のもの(相続財産)ということになります。相続税対策で親から子供へ財産を移すための贈与がよく行われますが、本当に贈与が成立しているのか?を注意する必要があると思います。
贈与という契約は「あげます・もらいます」という意思がお互いに合うことが条件となることは既にお話したとおりです。相続税対策の現場においては、例えば、祖父からお孫さんへの贈与もよく行われます。では、そのお孫さんが小学生など幼少であった場合は贈与をすることができるのでしょうか?結論から申し上げると、贈与は成立しません。ここで問題となるのは、祖父と小学生のお孫さんの間で「あげます・もらいます」という意思がお互いに合うかどうかです。一般的には、小学生には「もらいます」という判断を自分ですることができないと考えられています。実務上、生殖機能を持つ年齢(12歳程度)からは、その判断ができると考えられています。もし、祖父からお孫さんへ贈与するなら「お孫さんが中学生になってから」と目安にしていただければと思います。
子供が贈与を知っていても贈与税が課税される場合があります
例えば、子供が親から預金を贈与されたら、その預金は子供のものになります。つまり、その預金の所有権は子供にあります。所有権は民法で定める「権利」ですので、その権利がなければ「子供のもの」とは言えません。民法では所有権を次のように定めています。
・その預金を子供が自由に使うことができる
・その預金の利息を子供が自由に受け取ることができる
・その預金を子供が自由に友人にあげることができる
つまり、この3つを子供が自由にできなければ、所有権はないということになります。

例えば、
・子供名義の預金通帳や印鑑を親が管理している
・子供名義の預金通帳の印鑑が親の通帳の印鑑と同じ
場合には、その子供名義の預金は、親の預金(相続財産)とされますのでご注意ください。つまり、単に親から子へ名義を変えただけでは贈与にはならないということです。
贈与を行う場合の注意点
次の3つのことを注意してください。
・「あげた」という証拠を残す
・「もらった」財産は、もらった人が管理する
・贈与税を納める場合には、財産をもらった人が贈与税を納める
「あげた」という証拠を残す
贈与をしたときに「あげた・もらった」という証拠がないと、税務署は本当に贈与をしたの?と聞いてくることもあります。そこで「あげた」という証拠を残すために、親の預金口座から、子供の預金口座へ振り込みをしましょう。振込みをすれば、預金通帳に振り込んだ証拠が残ります。
「もらった」財産は、もらった人が管理する
子供名義の預金通帳や印鑑は子供が管理するようにしてください。子供が管理することで、子供名義の預金は子供自身のものである(所有権がある)と税務署に言えることができます。
贈与税を納めるときは、財産をもらった人が贈与税を納める
贈与税は、財産をもらった人が納める税金です。つまり、親から子供へ贈与があったときは、子供が贈与税を納めなくてはなりません。もし、親が子供の代わりに贈与税を納めると、その贈与税にも贈与税がかかります。
贈与契約書は必要でしょうか?
贈与契約書は「将来もめたときのための証拠書類」となります。ないよりはあったほうがよい、という程度だと私は思います。贈与契約書を作るのが面倒という方もいらっしゃると思います。それが面倒になって贈与をしないというのが、相続税対策においてはもったいないと思います。預金通帳に振り込んだ証拠が残っているというのがポイントです。預金口座の振込みなら贈与契約書を作るよりも、簡単にできると思います。
税務署は贈与のココを見ている!!
税務署は本当に「贈与という契約が成立しているか」を厳しくみます。
つまり、
・子供が親から預金をもらったことを知っているか?
・預金通帳や印鑑の管理は誰がしているのか?
です。
贈与契約書があるかないかは関係ありませんし、贈与税の申告書を提出しているかどうかも関係ありません。
祖父からお孫さんへ贈与をしたお金で、お孫さんの金銭教育をすることもできます。例えば、証券会社にお孫さん名義で口座を開設して、毎月投資信託を積み立てるとします。お孫さんに自分で運用するようにと言います。お孫さんは、新聞やニュースで今の経済がどうなっているのか?これからどうなっていきそうか?など考えると思います。お孫さんの金銭教育のいいキッカケになると思います。これからの時代、学校では教えてくれない金銭教育は、ご家庭の中で始めていくことも大事だと思います。
暦年課税(非課税枠110万円)の使い方
贈与は相続税対策の基本中の基本
贈与税は、贈与により財産をもらった人にかかる税金です。贈与税は、簡単に次の算式により計算します。

<算式>(贈与によりもらった財産の時価−110万円)×税率=贈与税

例えば、祖父から子供・お孫さん5人へ10年間、毎年110万円の贈与を行うと、贈与の総額は5,500万円となります。平成17年に相続税が課税された故人で、遺産の総額が2億円以下の方の割合は70%程度であることを考えると、この非課税枠の110万円を地道にコツコツと使うことで、大きな相続税対策の効果が出てきます。そのため、計画的な贈与を行うことも大切です。
将来、値上がりしそうな財産を贈与しよう!
相続税は、相続があったときの財産の時価に対して課税されます。つまり、将来に値上がりしそうな財産があるときは、まだ時価が低い今のうち(現在)に贈与をしておけば、相続税が増えなくてすみます。
生前贈与による相続税対策が有効な理由
このような生前贈与は、単に将来の相続税対策につながるだけではなく、将来の相続税の税制改正の影響を受けないという効果もあります。相続税は、相続があったときの相続税法により計算されます。税法というものは、毎年税制改正の可能性があるため、現在の税法では有利な相続税対策かもしれませんが、相続税が計算される将来においては、必ずしも有利な相続税対策となっていると限りません。贈与による対策についても、同じことが言えますが、贈与税は贈与があったときの税法により計算されます。そのため、贈与は現在において有利な方法を考えて、相続税対策として利用することができるメリットがあります。
贈与税の配偶者控除は相続税対策に有効なのか?
婚姻期間が20年以上の配偶者に、マイホーム又はマイホームを取得するための資金を贈与したとき、2,000万円までの贈与については、贈与税を非課税とする制度。いわゆる「贈与税の配偶者控除」と言われる贈与税の特典があります。相続税を心配になられている方ですと、一度は耳にしたことがあると思います。この贈与税の特典、本当に相続税対策に有効なのでしょうか?多くの財産をお持ちで高額な相続税がかかりそうな方ですと、それなりの効果があると思います。ただ、この特典はあくまで贈与税の特典です。仮にマイホームの贈与をすると、次のような諸費用がかかります。
・不動産取得税・登録免許税などの税金
・司法書士への登記費用など
また、この特典を利用するには、贈与税の申告書を提出するという面倒な作業も出てきます。
このような税金や諸費用などのコスト、そして贈与税の申告書を提出するという手間をかけてでも相続税を減らす効果がなければ、この贈与税の配偶者控除という特典を利用する意味がありません。こうしたお話は、不動産と税金に強い専門家に相談するべきでしょう。税理士は、税金の専門家であり不動産の専門家ではありません。税金のことだからといって、税理士に相談すればよいということでもありません。相続や不動産を専門としているFP(ファイナンシャルプランナー)などは、税金だけでなく不動産も含めて広い視野で相談にのってくれますので、強い味方になると思います
相続時精算課税サイドの使い方
相続時清算課税制度とは?
相続時精算課税制度は、平成15年度の税制改正で創られた新しい制度です。平成15年当時の日本経済は、不景気の真只中。将来の先行きが不透明なため、主に高齢者があまり財産を使わず、貯金をする傾向にありました。その高齢者が高額の財産を蓄えたままでいると消費が拡大せず、日本経済の景気が回復に向かわないということで、親から子への世代間の財産の移転を促すため、税制面の特典を設けました。これが、相続時精算課税制度の誕生の背景です。
贈与をしたときに贈与税はかかりません
相続時精算課税制度は、親から子供へ財産の贈与を行ったときには、贈与税をかけない代わりに、将来親の相続が開始したときに、その贈与をした財産を親の相続財産として、相続税を課税する制度です。今、贈与税はかからないだけで、将来に相続税がかかるかもしれないので注意してください。
相続時精算課税制度を利用したときの贈与税
65歳以上の親から20歳以上の子へ財産を贈与したときは、次の算式により贈与税を計算します。

<算式>(贈与を受けた財産の時価−2,500万円)×20%=贈与税

この制度を利用すると2,500万円までの贈与には、贈与税がかかりません。そして、この制度は父・母のそれぞれの贈与に利用できるため、合計5,000万円まで贈与税がかからないことになります。
子供のマイホーム購入資金の贈与にはさらに特典があります
から20歳以上の子へ財産を贈与した場合には、次の算式により贈与税を計算します。

<算式>(贈与を受けた財産の時価−3,500万円)×20%=贈与税

子供がマイホームを購入するために、親から子供へ資金援助をすることがよくあると思います。そのマイホーム購入資金のために、この相続時精算課税制度を利用すると、3,500万円までの贈与には、贈与税がかかりません。そして、この制度は父・母のそれぞれの贈与に利用できるため、合計7,000万円まで贈与税がかからないことになります。また、親の年齢に65歳以上という年齢制限がなくなりますので、どなたでも利用することができます。
相続時精算課税制度の落とし穴
この制度を利用するにあたり、次の点に注意してください。
・110万円の非課税枠が生涯にわたり二度と使えない。
・現在の贈与税は課税されませんが、将来に相続税が課税される。
・もらった財産がなくなっても相続税を納めることになる。
110万円の非課税枠(暦年課税)を生涯にわたり二度と使えない。
この制度を利用するにあたり、次の点に注意してください。
・110万円の非課税枠が生涯にわたり二度と使えない。
・現在の贈与税は課税されませんが、将来に相続税が課税される。
・もらった財産がなくなっても相続税を納めることになる。
現在の贈与税は課税されませんが、将来に相続税が課税される。
贈与により財産をもらった子供は、現在の贈与税が課税されないというだけです。将来、贈与により財産をあげた親の相続があったときに、贈与によりもらった財産を親の相続財産として、相続税の計算が行われます。贈与税が非課税というわけではなく、単に税金を支払うタイミングを先延ばしにしてもらっているだけですので注意してください。
もらった財産がなくなっても相続税を納めることになる。
例えば、この制度を利用して親から現金を1,000万円もらったとしましょう。現金1,000万円をもらったときには、贈与税は課税されません。将来、相続があったときに現金1,000万円は相続財産として相続税が計算されます。その現金1,000万円をムダ使いしてしまい、相続があったときに1円も残っていないとしても相続税を納めなければなりません。最悪の場合、相続税を納めるお金がない「相続破産」ということにもなりかねませんので注意してください。
相続時精算課税制度を使うメリットは「あるのでしょうか!?
<メリットのある方>
将来、親に相続税が課税される心配のない方は、税金を納めることなく、生前に財産を贈与され、その財産を使うことができるので非常にメリットがあります。

<メリットのあまりない方>
将来、親に相続税が課税されることが心配な方にとっては、この制度を利用するメリットはあまりないでしょう。
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