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税務相談における税務署職員の指導や助言は、公的な見解ではありません

  • 2009/06/10

次のような税務判決をご紹介します。
わかりやすくするため、言葉を大幅に変えています。
そのため、原文とは意味が異なる場合がございます。

 

 

【結論(私見)】

(1)税務署職員に税務相談をしても、税務署としての公的な見解ではありません。
(2)税務署職員の指導や助言を受けても、追徴課税をされる可能性があります。
(3)税務署は、税金を取るために存在しています。税務署での税務相談は、あくまで一般的なお話で、納税者にとって有利になるようなお話をするわけではありません。

 

 

【事件の概要】

原告Aさんは、平成15年分の所得税の確定申告書を提出しました。
原告Aさんは、所得税の確定申告書の作成にあたり、税務署へ相談に行き、税務署職員から指導を受けていました。

ところが、後日、この提出した所得税の確定申告書の内容に誤りがあるとして、追徴課税を受けました。
原告Aさんは、追徴課税を受けたことに納得ができず、取り消しを求めて裁判を起こしました。

 

 

【判示事項】

(1)租税に関する法律に基づいて適正に課税をすることは、その課税が違法として取り消すことができる場合でも、租税に関する法律に基づいて適正に課税されている限り、慎重に判断をしなければならない。

また、租税に関する法律に基づくことで、納税者にとって平等や公平が損なわれるようなときは、納税者を保護しなければならないような特別な事情がある場合に、初めてその課税が違法として取り消すかどうかを考えるべきである。

そして、この特別な事情があるかどうかの判断は、少なくとも税務官庁が納税者に対し、信頼の対象となる公的な見解を示したことにより、納税者がその見解を信頼して、その信頼に基づいて行動した結果、後日その見解に反する課税の処分が行われ、そのために納税者が不利益を受けるようになったのかどうか、
また、納税者が税務官庁の見解を信頼し、その信頼に基づいて行動したことについて、納税者の責任があるのかどうかを考慮しなければならない。
(最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判決・裁判集民事152号93頁)

 

(2)税務署は、納税者である国民への信頼や期待を裏切らないように誠実に行わなければならないという法律の考え方(信義則)があります。
この考え方の対象となる税務官庁が示した公的な見解は、一定の責任がある立場の者による正式な見解が必要であると考えられます。

 

(3)税務相談は、行政サービスの一環として、納税者の納税や申告を助けるために設けられているものです。
税務署の職権で税務調査を行うのではなく、相談者が示した資料や説明の範囲内で検討して、その納税や手続きについて指導や助言を行うものです。

このようなことから、税務相談における税務署職員による指導や助言は、相談者に対して、一応の参考意見とはなるものの、相談者がその指導や助言の内容の通りに納税や申告をした場合でも、その内容を税務署として認めるものではありません。

最終的にどのような納税や申告をするかは、納税者の責任と判断に任されているのです。

 

(4)この事件において、原告Aさんに対する税務署職員の指導や助言は、税務署長など一定の責任がある者の正式な見解ではないので、「税務署は納税者である国民への信頼や期待」を考慮するときの公的な見解と言うことはできません。

 

所得税更正処分取消請求事件
東京地方裁判所 平成19年(行ウ)第165号
平成19年9月14日判決言渡し(請求棄却 確定)

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