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【所得税法改正】平成23年度税制改正大綱:所得税

  • 2010/12/30

このほど、平成23年度税制改正大綱が公表されました。
そのうち、所得税の考え方について、次のように述べられています。

 

 

① 基本的な考え方

所得税については、累次の改正により累進緩和や各種控除の拡充が行われてきました。
一方、給与収入階層の分布を見ると、平成9年まで平均給与は上昇し、高所得者の割合も増加してきましたが、その後、これらは低下し、平成20年は平成2年と同程度の水準に戻っています。

このため、同じ税率構造の下では、インフレ等により名目賃金が上昇すれば全体としての累進性が高まるはずのところ、逆に累進性が低下する現象が生じ、所得再分配機能と財源調達機能が大きく低下しています。
格差社会に対応するためにも、累進構造を基本とする所得税については、雇用形態や就業構造の変化も踏まえながら、所得再分配機能等を回復するための改革を進める必要があります。

そのため、税率構造の見直しはもとより、高所得者に対して結果的に有利になっている所得控除の見直しなどによる課税ベースの拡大、さらには、所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へという改革を進めます。

また、所得税については、本来、全ての所得を合算して課税する「総合課税」が理想ですが、金融証券税制については、金融資産の流動化や個人金融資産の有効活用による経済活性化の必要性にかんがみ、可能なところから、金融所得課税の一体化に向けた取組みを進めます。

 

 

② 改革の取組み

イ 給与所得控除の見直し

給与所得控除については、「勤務費用の概算控除」と「他の所得との負担調整のための特別控除」(以下「他の所得との負担調整」といいます。)の二つの性格を有しているものとされています。

しかし、就業者に占める給与所得者の割合が約9割となっている現状で、「他の所得との負担調整」を認める必要性は薄れてきているのではないかと考えられます。

また、現在の給与所得控除については、マクロ的に見ると、給与収入総額の3割程度が控除されている一方、給与所得者の必要経費ではないかと指摘される支出は給与収入の約6%であるとの試算もあり、主要国との比較においても全体的に高い水準となっています。

このため、給与所得控除の二つの性格について、各々2分の1であることを明確化した上で、格差是正、所得再分配機能の回復の観点から、過大となっている控除を適正化するための見直しを行います。

(イ) 給与所得控除の上限設定
現在の給与所得控除は、給与収入に応じて逓増的に控除が増加していく仕組みとなっており、上限はありません。
しかし、給与所得者の必要経費が収入の増加に応じて必ずしも増加するとは考えられないこと、また、主要国においても定額又は上限があること等から、給与収入が1,500 万円を超える場合の給与所得控除額については、245 万円の上限を設けることとします。

(ロ) 役員給与等に係る給与所得控除の見直し
法人役員については、一般従業員に比べ、勤務態様が必ずしも従属的でないと考えられることや、給与の自己決定度合いが高いこと等を踏まえると、特に、高額な役員給与については、給与所得控除の性格のうち「他の所得との負担調整」部分が過大となっていると考えられます。

このため、役員給与に係る給与所得控除を見直し、4,000万円超という特別に高額な役員給与については、「勤務費用の概算控除」部分である、給与所得控除額の2分の1の額を上限とします。

なお、2,000万円を超え4,000万円までの間では、「他の所得との負担調整」部分の一部を認め、控除額の上限を4分の3とする部分も含め、調整的に徐々に控除額を縮減します。
この給与所得控除の縮減措置は、役員給与のほか、いわゆる指定職等の国家公務員等やそれと同様の職位の地方公務員等の給与にも適用されるようにします。

 

ハ 成年扶養控除の見直し

現行制度では、23歳から69歳までの成年を控除対象とする扶養控除(以下「成年扶養控除」といいます。)は、被扶養者が一定の年齢であれば一律に適用されています。

しかしながら、本来、成年者は基本的に独立して生計を立てるべき存在であること等を踏まえれば、成年者を担税力の面で配慮が必要な存在として一律に扶養控除の対象に位置付ける必要性は乏しいと考えられます。

このため、成年扶養控除の対象を見直すこととします。
まず、障害者、要介護認定者その他心身の状態等により就労が困難な扶養親族、65 歳以上の高齢者、学生については、独立して生計を立てることが困難な状況にある人が少なくないと考えられることから、引き続き成年扶養控除の対象とします。

また、合計所得金額が400万円(給与収入568万円)以下の納税者(扶養者)については、扶養による担税力の減殺に配慮し、被扶養者の事情にかかわらず、引き続き成年扶養控除が適用できることとします。

なお、合計所得金額400万円を境目として税負担が急増しないよう、調整措置を講じます。
以上のように、担税力の減殺に配慮すべき世帯については負担増にならないよう措置した上で、上記以外の場合については、控除を廃止することとします。

 

ニ 配偶者控除

配偶者控除については、夫婦が生活の基本的単位である点を重視する考え方等から、その見直しに慎重な意見もありますが、雇用機会均等の理念から、制度が働き方の選択に対してできる限り中立的で公正なものとなるように見直すべきではないか、また、配偶者の家事労働には納税者本人にとっての経済的価値があり、配偶者の存在を担税力の減殺要因と捉えることは必ずしも適当ではないのではないか、という見直しに積極的な意見があります。
このような配偶者控除を巡る様々な議論、課税単位の議論、社会経済状況の変化等を踏まえながら、配偶者控除については、平成24年度税制改正以降、抜本的に見直す方向で検討します。

 


 

【日本経済の停滞=所得税の増税?】

「① 基本的な考え方」において、次のように述べられています。

「インフレ等により名目賃金が上昇すれば全体としての累進性が高まるはずのところ、逆に累進性が低下する現象が生じ、所得再分配機能と財源調達機能が大きく低下」

つまり、日本経済が回復せずデフレ状態が続いているため、所得格差が拡大している。
そのために、所得税を増税するのだそうです。

 

さらに「② 改革の取組み」には、次のように述べられています。

「本来、成年者は基本的に独立して生計を立てるべき存在であること等を踏まえれば、成年者を担税力の面で配慮が必要な存在として一律に扶養控除の対象に位置付ける必要性は乏しい」

日本経済が回復せず、職に就くことができない成年者の方もおられます。
この方たちへの配慮は、支援をするのではなく、所得税を増税させることのようです。

 

両者に共通しているのは、日本経済の停滞です。
政府は景気回復に向けて頑張っていますが、景気回復が遅れれば遅れるほど、そのツケは国民に回ってくる前例になりそうな予感がします。

 

 

【頑張った者が報われない世の中になる?】

会社経営者は、大きなリスクを取った結果として、4000万円を超える報酬を得ることもあります。
また、会社に所属をしている方についても、これまでの努力の結果として、1500万円を超える給与を得ることもあります。

このような方々について、所得税の増税がなされることは、日本経済の活力が削がれるような気がしてなりません。
個人的には、頑張った者が報われる環境作りも大事なのではないかと考えます。

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